ぼやきD著『テレビADの真実』ついに発売!

テレビADの仕事内容、給料、待遇、生態、私生活、ディレクターになる方法などなど、テレビ業界を目指す就活生・全ての現役ADに捧げる、ココだけの秘密の話…!

Kindle本にて発売中!
スポンサーリンク

【実録】テレビディレクターが飛んだらどうなるのか?

ディレクターの真実

ADが飛ぶことはよくあるのですが、
時にはディレクターが飛ぶこともあります。

今回は「ディレクターが飛んだらどうなるのか?」を、その当日のスタッフの対応や心情、事後処理などと合わせて解説します。

 

ディレクターが飛ぶ原因は?

そもそも、ディレクターが飛ぶ原因は何なのか?
僕が12年のテレビ人生の中で見たことがある「ディレクターが飛んだ事例」は2件のみ。その理由は、

【ケース①】バキ打ちされたから
【ケース②】できないADに嫌気がさしたから

というものでした。

【ケース①】バキ打ちされたから

【バキ打ち】とは
ディレクターが寝ないで作ったVTRに、たくさんのダメ出しをされてしまうこと

ディレクターが作ったVTRは当然、演出やプロデューサーなど、番組のお偉いさんたちのチェックを受けます。

その時にたくさんの『ダメ出し』をされてしまうことを、バキ打ちと言います。

時には、大声で怒鳴りつけられたり、罵倒されることもあります。

バキ打ちを食らったディレクターは精神的に大きなダメージを負い、再起不能になってしまう人もいます。

バキ打ちを食らうと、もちろんVTRは作り直しなのですが、
台本をいちから作り直したり、追撮に行ったり、編集し直したり、オンエアが迫って来たり、ADの士気が下がったり、
とにかくバキ打ちをされたディレクターはめちゃくちゃ大変なのです。

飛んでしまうのも分かる気がする…。

【ケース②】できないADに嫌気がさしたから

ADの中には当然、仕事ができない子もいます。

仕込みが遅かったり、情報確認が遅かったり、ロケの段取りが悪かったり、イメージと全然違うイラストを発注してたり。

そんな日頃の小さなストレスが積み重なっていき、
『今日上がるはずの素材が全く立ち上がっていなかった』
ことが最後の起爆剤となり、我慢できなくなって飛んでしまったのです。

そのADさんに関しては以前から問題があったようで、ディレクターも会社に何度かアピールしていたようですが、それが聞き入れられなかったこともあり「もうこんな状態では仕事ができない!」という意思表示の意味もあったようです。

 

ディレクターが飛ぶタイミングは「編集中」

【ケース①】のように、編集(オフライン)したVTRがバキ打ちされて、大直しを食らったタイミングで飛んでしまうことが一番多いです。

「ロケの当日に飛んだ」というディレクターの話は聞いたことがないのですが、その場合、ロケってどうなるんだろう…??
(知ってる方、教えてください!)

※確信犯でロケをサボるディレクターはたまにいますが、その場合はADが代わりにロケをします。ただし、最終的な責任はそのディレクターが取ることになります。

 

実体験!ディレクターが飛んだ日

ディレクターが飛んだ場合は、代わりのディレクターが事態に対応することになります。

実は、上記の【ケース】で代理になったのは僕だったので、その時の実際の流れを紹介します。

ディレクターが素材を取りに来ない

編集用の素材を取りに来るはずのディレクターが来なかったことで、事態が発覚しました。

その異変に最初に気づいたのは直属のADです。

対応①「鬼電する」

やっぱり最初は電話します。ディレクターが寝坊したり遅刻することはよくあることなので、とりあえず何度も電話します。

対応②「プロデューサーに電話する」

鬼電してもディレクターがつかまらなかったので、そのADからプロデューサーに連絡がいきました。
早急にプロデューサーからもディレクターに連絡します。
しかし、もちろん音信不通なので、連絡がつながることはありません。

対応③「プロデューサーが代わりのディレクターを見つける」

「ディレクターが飛んだ」と判断されると、プロデューサーは別のディレクターを早急に立てなければなりません。

その時の編集の状況は、

30分のロケ番組。2日後にプレビュー。
1度プレビューはしているが、大きな直し&尺出しが必要
半日ほどの追撮も必要。

という状態でした。

代理となるディレクターは、新人ディレクターではダメで、
ある程度無茶な状況やスケジュールでも対応できる人である必要があります。

一般の方にはピンとこないと思いますが「30分番組を2日後までに仕上げる」というのは結構大変です。(ロケ素材は10時間くらい)

その2日間は集中してオフラインできるディレクターが必要です。

その時僕に連絡が来たのは
「以前その番組をやっていて慣れており、暇だったから」です。

対応④代理のディレクターがオンエアまで引き継ぐ

代理のディレクターは、演出やADから全ての情報を引き継いで編集に入ります。

僕の場合は、一度プレビューしていたおかげで「構成や流れは大体決まっていた」のでまだ作りやすかったのですが、
他人がロケをしたものを編集する時は「どこにどんな素材が撮れているのか全く分からない」ため、結局、膨大な10時間の素材から必要なカットを探すことになり、労力が半端なかったです。

せめてスタジオ番組だったら、まだ直すの楽だったのに…。

ただ追撮の方は、別のディレクターが行ってくれました。

そして、ギャラもたくさん貰えました。

 

事後処理

ディレクターが飛んだ時は、ADとは違って、プロデューサーが自宅を訪ねたり親御さんに連絡をしない場合もあります。

特にフリーのディレクターの場合は、連絡がつかなければそのまま放って置かれることもあります。
当然ながら、飛んでしまった回のギャラは貰うことができないし、エンドロールからも名前を消されます。

 

飛んだディレクターのその後

【ケース①】のディレクターは、完全に消息を絶ってしまい、今何をしているのかは分かりません。ただ、噂さえ全く聞かなくなったので、多分、他業種に転職したものと思われます。

【ケース②】で飛んでしまったディレクターは、制作会社の正社員だったのですが、連絡が通じたので後日、番組に復帰しました。
当然怒られていましたが、何事もなかったかのように今も変わらずその番組で仕事をしています。

 

飛ばないための対策は?

【ケース①】のバキ打ちされた場合。その原因が

①仕事量が明らかにキャパオーバーだったから
②能力不足だったから

のどちらかにもよりますが、仕事量が明らかにキャパオーバーの場合は、プロデューサーにちゃんと相談した方が良いです。まともなプロデューサーなら何かしらの対応をしてくれるはず!

ただ、制作会社の人間の場合は、基本、会社から振られた仕事は逆らうことができません。自分のキャパオーバーの仕事でも人が足りてない場合はやらざるを得ないときがあります。(外から見ていて本当にキツそうだなと思う時がある…。)

そういうヤバい状況の会社は辞めるのも有りだと思います。

フリーのディレクターの場合は、当然、自己責任なのできついと思う仕事は断りましょう。

【ケース②】のように、できないADに嫌気がさした場合ですが、

ADに過度な期待は、始めから持たない方が良いです。

どのディレクターも「そのADの力量がどれくらいなのか?」は、一緒に仕事をしていれば分かると思います。

僕は今の所、飛んだことは無いのですが、

ディレクター
ディレクター

このADは恐らくこの辺までしかできないだろう。

その先は自分でやるしかないな…。

という線引きをして、最低限のことだけADにやってもらうスタンスでやっています。

できないADさんがついた時は、素直に諦める方がストレスがたまらないし怒ることもありません。

『ADに過度な期待をしない』というのが結果的に自分の身を守ることになると、個人的には思っています。ぜひ、オススメしたいです。

 

関連記事:ADが飛んだらどうなるのか?↓

【実録】テレビADが飛んだらどうなるのか?
なぜADは飛んでしまうのか?実際に飛んだADからの意見や、僕の実体験などを踏まえて、ADが飛ぶ原因やタイミング、事後処理などについて解説します。『飛ぶ』とは、ある日突然音信不通になっていなくなってしまうことです。

 

コメント

  1. ぼやきDぼやきD より:

    ディレクターは結局、自己責任。
    つらいけどそう思っておいた方が楽。

スポンサーリンク
スポンサーリンク
タイトルとURLをコピーしました