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東京MX『欲望の塊』ランボルギーニ&ギャラ未払い問題をディレクターが解説

テレビ業界の真実

東京MXで放送された番組『欲望の塊』のギャラ未払い問題。制作を担当した「五行株式会社」はかなりずさんな会社だったと思われます。東京MXはもらい事故だとは思いますが、責任は負わなければなりません。

なぜ、このような事態が起こってしまったのか?

その原因は4つ。

①ヤバい制作会社が存在する
②ギャラは制作会社から支払われる
③制作の現場に局員がいない
④確実にチェックできるのは「完成品」だけ

ひとつずつ解説します。

 

①ヤバイ制作会社が存在する。

テレビ番組は9割以上が制作会社の手によって作られています。テレビ局だけで制作している番組はほとんどありません。というか、ひとつも無いと思う。

テレビ制作は必ず制作会社の手を借りています。

なので、その制作会社が「ヤバイ会社」の場合、制作過程がめちゃくちゃになってしまう恐れがあるのです。

そういう会社はすぐ淘汰されていくのが普通ですが、細々と続けている場合もあります。

僕が知ってるヤバイ制作会社では、労働環境がブラックすぎてADが全員辞めてしまい、社員のプロデューサー1人(この人もヤバイ)、あとはバイトの大学生だけで番組を回している会社がありました。

しかも、ゴールデンの2時間特番。

ディレクターはその制作会社からは一人も出せなかったようなので、フリーランスが召集されました。(演出は局員)

同業者なら分かってくれると思うのですが、ゴールデンの2時間特番のADが「全員バイト大学生」というのは相当しんどい…というか、絶対ありえないことなのです。(結局作ったけど…)

その番組の本編ディレクターを僕が担当したのですが、バイト大学生しかADがいないので何の仕事もできません。編集室に座ってネットリサーチをしながらお弁当を発注してくれるだけ。サブだし担当のディレクター陣は再現VTRなどもあったため、かなり大変だったと思われます。

細かい情報確認やコンプライアンスチェックなどは、そのヤバイプロデューサーを中心にバイトADたちがやっていたのですが、当然、詰めが甘くなります。編集が終わった後に

プロデューサー
ヤバイP

すみません!あの映像使えません!

編集やり直して下さい!

と言ってきました。

「映像が使えない」ことがちょっとずつ発覚していったため、最終的に3回も尺直しをすることになりましたが、そういうずさんな制作会社は確かに存在するのです。(この会社は今も潰れていません)

この会社と仕事をした時はめちゃくちゃ大変でしたが、実はその制作過程で衝撃(笑撃)な出来事がたくさん起こりました。最近の話なので今は書けませんが、ほとぼりが冷めた頃にまた記事にします。

 

②ギャラは制作会社から支払われる

テレビ番組のギャラはテレビ局、もしくは制作会社から支払われます。

中でも制作会社主体で動いている番組は、制作会社がテレビ局から受け取った制作費の中から各タレント・スタッフにギャラが支払われます。

今回の場合は、東京MX側が制作を担当していた『五行株式会社』に制作費を渡し、そこからギャラが支払われる予定だったと思われます。

プロデューサー
MXのP

出演者にギャラちゃんと払いました?

ランボルギーニ、発送しました?

なんて確認を、いちいちすることはありません。

東京MX側は渡した制作費の中から当然ギャラが支払われているものと思っていたわけですね。

 

③制作の現場に局員がいない

テレビ制作は、依頼された制作会社の主導で行われます。

番組の中に少なくとも局員のプロデューサーはいるはずですが、実際のロケや収録は制作会社の人間が中心となって回します。

局員が全ての会議、ロケ、収録、編集に立ち会えるわけではないのです。

特に東京MXくらいの小規模なテレビ局だと、社員が少ないので全番組の制作現場に自社の人間を派遣するのはかなり難しい。

ネットニュースによると今回の事件の場合は「収録に1〜2回局員が立ち会っていた」とのこと。(放送は全12回あったので、全部は来てなかったってことなのかな?)つまり「収録当日の現場」のチェックはできたとしても、それ以外の部分についてはほとんど目が行き届いていなかったと思われます。

 

④確実にチェックできるのは「完成品」だけ

テレビ局が確実にチェックできるのは「完成品」のVTRのみ。

今回の『欲望の塊』も、さすがに完成したVTRのチェックは東京MXがやっているはずです。

しかし、完成品を見ても「制作過程」については分かりません。

分かるのは「その内容がコンプライアンス的に問題ないか?」「情報が間違っていないか?」などの表面的なことだけ。

ヤラセかどうかも分からないし、ギャラがしっかり支払われているかも分からないのです。

 

まとめ

しかも、今回は出演者のホストから150万円を徴収して番組に参加してもらっていた、とのこと。

参加者たちが同意の上で参加しているので、商品のランボルギーニやギャラさえ支払っていれば問題はなかったかもしれません。

しかし、普通テレビ出演をお願いするときに番組側がお金を支払うことはあっても、金銭を要求することは一切ありません!

よく取材交渉をすると

出演するのにお金はかかるんですか?

と聞かれることがありますが、たまにこういう番組があるせいか??誤解されている方が多いみたい。

もし、テレビ番組に出演をする際に金銭を要求されたとしたら「ヤバイ番組」の可能性が高いので、出演しないことをオススメします。

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