宮迫さんの謹慎でこの前のアメトーークは
宮迫さん出演部分をカットせざるを得ませんでした。
そのため「編集に違和感があった」という意見が
SNS上で散見されましたが、それは仕方ありません。
スタジオ収録の際には
宮迫さんの謹慎なんて想定して撮っていませんから。
これはテレビ制作をしていると10年に1度くらい訪れる緊急対応ってやつです。
ディレクターは違和感があるのは分かっていますが
「そういう編集なんだ」と割り切って再編集するしかありません。
なぜ「違和感があった」のか?
(宮迫さんが映ってないからとかそんな単純な話じゃなく)
僕はアメトーークのスタッフでも関係者でも何でもない、ただのファンですが、一応同業者のプロなんで分析はできちゃいます。
その原因を説明します。
違和感の原因①スタジオの広い画が一切使えない
特にアメトーークの場合はMCもゲストも、時にはスタッフも一体となって「超盛り上がってる」時があります。
そんな時は、絶対にスタジオ全体が映る広い画を使いたい所。
しかし今回は、宮迫さんの映り込みを気にして広い画角は一切使えませんでした。
バラエティ番組は「みんなで盛り上がっている」というのが楽しさの秘密でもあるのですが、スタジオ全体で盛り上がってる「一体感」を映せなかったのはバラエティとしてはかなり痛いです。
違和感の原因②MCの2ショットが一切使えない
今回の編集でディレクターが一番キツかったのは絶対コレです。
アメトーークの基本構造として
お題が発表される ↓ ゲストがお題に沿ったコメントをする ↓ MCがツッコム ↓ 話題が一段落。次の話題へ
という構造が積み重なって出来上がっていますが
「MCがツッコム」ところが使えないとトークにオチがつきません。
特に普段は宮迫さんがよくツッコンでいます。
今回は「ゲストがコンビ」だったのでしっかりとコンビ間でオチをつけられるメンバーでしたが、きっとスタジオでは宮迫さんがトークを落としたシーンもめちゃくちゃあったはずです。
しかし、その「ツッコミの声」さえも全カットしなければならないので、編集中、トークにオチがつけられなくて困ったシーンが
多数発生したと思われます。
違和感の原因③【話を聞く人=MC】が映せない
原因②の続きになりますが、
トーク番組には必ず「話す人」と「話を聞く人」がいます。
アメトークの場合は
「話す人」=ゲストの芸人さんたち 「話を聞く人」=雨上がりの2人
当然、ゲストの芸人さんたちは
みんな雨上がりの2人を見ながらトークをします。
編集上は「話す人」からよきタイミングで「話を聞く人」にカメラを切り替えたいのですが、今回「話を聞く人(宮迫さん)」にカメラが切り替えられません!
切り替えられないとゲストが一方的に話してる感じに見えてしまいます。
今回、どうしてもMCを使いたい部分に関しては
蛍原さんのワンショットとか
宮迫さんを切って「2面にする」という編集で対応していました。
しかし冒頭、ダイアンのトークの
「西澤が…あっユースケが…」
というくだりでずっと蛍原さんがツッコンでるのに、カメラがMCに切り替えられなかったのは
きっとツーショットの画しか無かったんだな…
なんて、勝手に思ったりしました。
もちろん、トークを円滑に進めるための
うんうん。
マジで?
それで?
とかのMCの「細かい相槌」も使えません。
MCの画をはさみ込めないから
ゲストだけでただ喋り合ってる感じの印象になっちゃう。
再編集したディレクター、めっちゃ困ったと思います!
違和感の原因④MCの画に逃げられない
当然、ゲストがしゃべった話は短く「編集」されています。
ゲストの話の「編集点」がバレないよう
MCのカメラに切り替える事が多いのですが、
その編集点を作る上で「MCの画に逃げられない」というのは相当きついんです…。
ディレクターなら分かると思うんですが…。
一般の方にはマニアックな話ですみません…。
違和感の原因⑤雨上がり2人の掛け合いが無い
アメトーークは「雨上がり決死隊」の番組である以上
「MC2人の掛け合い」が超重要です。
コンビ間の作り出す雰囲気というか・・・
本来は宮迫さんがボケなのに蛍原さんがふざけて宮迫さんがしばいたりとか、ゲストのボケに2人して思いっきりツッコンだりとか、2人でめちゃくちゃ笑ったりとか
雨上がり決死隊が2人で醸し出す雰囲気というのがアメトーークの質に大きく関わると思われます。
普段目立つのは宮迫さんの方ですが、
宮迫さんがツッコンでる横で蛍原さんは笑ってたり、逆にドン引きしてたり、宮迫さんのツッコミに援護射撃したり、
「2人で楽しんでる」感じがやっぱり楽しい。
雨上がり決死隊という「コンビの空気感」を大切にしながらいつもは編集していると思われます。
その部分がカットされるとやっぱりいつもより寂しく感じられます。
違和感の原因⑥本当に使いたかったのは「ど正面」
細かい話になるのですが、アンガールズの「ファッションショーのコント」のくだり。
田中さんと山根さんがすれ違う時に
「導線がかぶって、ぶつかる」というネタ。
スタジオ横打ちのカメラを使っているので
いまいち「2人の導線がかぶっている」のが分かりにくかったのですが
実は2人のかぶり具合が一番わかりやすいのはスタジオど正面のカメラ。(正面からは田中さんと山根さんがカメラにかぶって見える)
アンガールズの2人もスタジオではこの正面のカメラを意識して(お客さんに向かって)コントをしていたと思います。
当然、ディレクターもこの正面のカメラを使いたかったはず!
しかし、正面のカメラの奥には
宮迫さんが映っているので使えなかったと思われます。
不幸中の幸いだったこと
他にも「音の編集」に関してもいくつかあるのですが細かすぎるし説明しづらいので割愛します。
ただ今回ラッキーだったと思うのは「ネタ書いてない芸人」という企画だったこと。
「相方に不満を言う」という企画の構造上、MCに向けてではなくコンビ間でのトークのやり取りがメインだったことです!
コンビ間でオチまで成立するシーンが多かったので普通に面白かった。
不幸中の幸いですね。
あと数回分は収録してるはずだからしばらくはスタッフ大変だろうなぁ。
ただ、テレビ朝日の番組は「全パラ収録」という特徴があり、比較的再編集がしやすい傾向があります。
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