2014年に特番から始まった「家、ついて行ってイイですか?」
ディレクターが50人くらいいるらしく、人海戦術で日本中(たまに世界)を飛び回り面白い人を探しているらしい。
制作費やギャラはどうなっているのか?採算は取れているのか?などが全くわからない謎の番組。
ネタの当たり外れはありますが、たまにとんでもない衝撃回が流れることがあり、特に初期はすごかった。
同業者から見て面白かった、こんな人よくつかまえたなぁと思う初期の濃すぎる神回をご紹介します。
①今日、妻が出て行きました…恐怖の帰宅【赤羽→伊勢原】
2014年8月15日放送。ついて行くのは外資系保険会社のエリートサラリーマン。元議員秘書という経歴の持ち主。
ディレクターが声をかけると「今日、奥さんに逃げられたんです!」といきなりぶっちゃける。
LINEで「家を出て行きます」とだけ連絡が来たらしく、奥さんは旦那さんに内緒で引越しを済ませたらしい。家に荷物はあるのか?どういう状況なのか?なぜ逃げたのか?旦那さんも全く分からないとぼやきながら帰宅します!笑
「奥さんに逃げられた」という話はよく聞くが、
今日、逃げられた!
という絶妙なタイミングだったおかげで奥さんがいなくなった当日の悲惨な旦那さんのリアクションを連続して見られるという貴重な神回。
家についた瞬間「無い!車無いね!」と叫び出したり、
家に入ると・・・
・照明が無い
・テレビがない
・エアコンがない
・クローゼットの服がない
・本棚がない
・洗濯機がない
・奥さんのエステ道具がない
・子供の写真もない…
正直、当事者の気持ちになるとたまったものではないが、テレビ的にはかなりおいしい状況。
「どうして奥さんが出て行ったのか?」「これからどうするのか?」を、ディレクターと酒を飲み交わしながら語り出すのだが、結局、奥さんに連絡が取れないため原因が何だったのかは分からなかった。
②超かかあ天下!恐妻家と激ギレ妻の”恋” 【高尾→立川】
旦那が家に勝手にテレビ東京の撮影隊を連れて来て奥さんが激ギレする、というだけの修羅場回。
しかし、奥さんは寝室で寝ているためカメラの前には全く出てこない。ただ怒声だけが響き渡る!笑
家にあるメガネやサインボールなどから、奥さんは「目が悪い」「中日ファン」「前田敦子似」などの断片的な情報だけは分かるが、本人は画面に一切出て来ない。
旦那が寝室に起こしにいっても
奥さん「どういうことなの?これ」
奥さん「部屋が汚いの流れちゃうじゃん!」
旦那「すみません すみません すみません」
奥さんの怒声とひたすら謝るしかない旦那さんの様子が、引き画でずーっと撮影されている、というシュールな回です。(まあ、テレビがいきなり来たら奥さん怒るよね…)
帰りが遅い旦那のために夕食を用意してくれているなど、実は優しい面も明らかになったが、オンエアを承諾してくれている時点でかなり優しい奥さんであることは間違いない。
最後は、かつてミュージシャンを目指していた旦那のオリジナル曲「せつない夜」を聞きながら無理やり感動に持っていく。
『Let it be』が流れなかった珍しい回でもある。
③町田のラブホテルに勤める青年【町田→成瀬】
声をかけたのは町田で合コンをしていたと思われる26歳の青年。
家に帰ると思いきや、タクシー運転手に「ウォーターホテルまでお願いします」と言い出したことでラブホテルの料理長として働いていることが判明。(ラブホテルに料理長なんていたんだ…)
町田のウォーターホテルは平日なのに3部屋しか空いてないほどの大盛況!料理にもこだわっていて、電子レンジでチンではなく、ピザも小麦粉から練るし、季節ごとの限定メニューなども創作しているという。(今時のラブホテルって料理にもこだわってるんだなぁ)
(家はこんな感じ↓)
見た目はチャラいが、口調や受け答えはしっかりしている。服部栄養専門学校を卒業するなど、料理への熱意もかなり高い。
両親は離婚してしまったが、男手ひとつで育ててくれた父親にすごい恩義を感じているようで「後悔しないように生きろ」という父親の教えを胸に頑張っている。
口でプラス(+)のことを言うと『叶う』
それにマイナス(ー)のことを言うと『吐く』
グチを「吐く」人間ではなく「叶う」人間になりなさいという言葉が座右の銘であるらしい。
「お前、ラブホかよ!」という世間からの偏見があるものの、
「今の仕事が楽しくてしょうがない」「ここで働いてプラス(+)になってる」「全く後悔はしていない」と言い切る姿がカッコよかった。
④母を愛するエキセントリック少年ボーイ【渋谷→明大前】
2014年9月29日放送。ついていくのは渋谷で遊んでいた紫色の髪、大量の口ピアス、ビジュアル系の服装の「ひろろ」さん。
仕事はシルバージュエリーのデザイン&販売。パラパラも踊れるいわゆる渋谷系のイカれた感じの兄ちゃんに見える。
部屋を暗くしてワインを飲むのが趣味。
宝物は「お母さんと一緒に撮った写真」
「今、平成何年?」が分からなかったり、ローマ字の『じょ』とか『ぎょ』が分からなくて専門学校の先生に怒られたり、ちょいちょい出てくるエピソードがぶっ飛んでいるおもしろ回。
最後は「お母さん大好き」の流れに持っていき『Let it be』でうまいこと誤魔化そうとするが、決して感動はできないけど、おもしろ神回です。
⑤73歳、女1人で生きる…キューピーだらけの部屋。それぞれの幸福論
2014年12月7日放送。番組初期に飛び出したかなりの衝撃回。ついていくのは、昼飲み居酒屋で見つけた笑顔がかわいい73歳のおばあちゃん。
「たくさんのキューピー人形と一緒に住んでる」と教えてもらい、家について行くと・・・
ダイニングテーブルに3体。
部屋の隅っこの布団の中に1体。
ベッドの上に3体。計7体のキューピー人形がいた。
ピー太、風太、ピー太郎、幸子、ピッピ、月子、雛子。しっかりとキューピーちゃん1体ごとに名前をつけており、食事するときも寝るときもいつもキューピー人形と一緒で実の子供のように溺愛している。
キューピー好きの
ちょっとおかしなおばあちゃんかな?
と思っていたが、「なぜキューピーを溺愛しているのか?」その理由が語られて行くことで事態が一変する。
「だめだったんでしょうね。
娘の時代から生理の時は病気みたいな感じで」
「本当だったら、生きている人の方がよっぽどよろしいんだろうけど…」
旦那さんがいた(すでに他界)のだが、子供を産みたくても産めない身体であったらしく、子宝には恵まれなかった。
でも、どうしても子供が欲しかったようで「本当だったら生きている方がよろしいんだろうけど」とキューピーちゃんを我が子のように愛するようになったのだ。
おばあちゃんの心の痛みがヒシヒシと伝わってくる。こういう方にはぜひ里親制度を利用して欲しいなぁ。
⑥秋葉原、入れ墨がある心優しいオタク【秋葉原→西武柳沢】
秋葉原で見つけたベビーメタルが大好きなオタク青年。
セイバーマリオネットを見てオタクに目覚めたらしく、とにかくベビーメタルが大好き。
(待ち受け画面もBABY METAL)
両親ではなく、なぜか祖父母と一緒に暮らしているらしい。
家に着いた途端、スタッフに物音を立てないよう注意するオタク青年。慎重に2階へと案内してくれる。
家にはやはり、大量のベビーメタルグッズが!
他にも、少女漫画やアイドルマスターなどのゲーム。
初音ミクのフィギュアやよく知らないアイドルのポスター、小説までもオタク系。
「運気が上がる」とのことで萌え系入れ墨まで入れてしまっている。
ヤベェ奴じゃん!
ハンパねぇオタクじゃん!
いわゆる今話題の「子供部屋おじさん」系のオタクかと思ったが、実は契約社員として週5でフルタイムで働きながら、週3深夜でマックのバイトもこなしている、というかなりの苦労人。休む暇もなく働いているらしい。
そして、少しずつその苦労の事情が分かってくる。
実は、おばあちゃんは和裁の資格を持っており、かつて故・高円宮さまを迎えたこともあるというスゴイ人。
そのおばあちゃんは癌のため自宅療養中で、おばあちゃんを助けるためにわざわざ一緒に暮らすようになったらしい。
おばあちゃんは時々胸の痛みが止まらなくなる時がある、そんな時にすぐに助けられるように一緒に住んでいるのだ。
ディレクターの「大変じゃないですか?」という問いに対して
「アニメ、登山、おばあちゃんの世話、全部ひっくるめて好きな事じゃないですか。だから苦労は特にないですね」
「オタクですよ。好きなことやってるんで」
おばあちゃんのお世話に「好きなこと」だから苦労は無い!と言い切る最後の言葉が20代の青年とは思えないほど深みがあった。なかなかこの言葉は言えないと思う。
この『素人の家にいきなりついていく』というクレイジーな企画を打ち立てた番組の演出・高橋弘樹さんの本を読んでみたのですが、中身はクレイジーではなく、めちゃくちゃ為になることが書いてありました。『家、ついて行ってイイですか?』についても書いてあったので番組ファンの方はぜひご一読を↓
コメント
2015年以降もぼやきDさんの神回を見たいです!
ありがとうございます!
作ります。そのうち…