新人AD。新型コロナの暇な期間をいかにして過ごすのか?
入社式が無くなり、いきなりリモートワークで、ほとんど出社することもなく社会人生活が始まった2020年入社のADさん。
コロナ騒動でロケも収録も中止になり、バラエティ班の人はほとんどやる事がないと思います。(報道は大変そうだけど)
社内の人と顔を合わせる機会もほとんど無いため、入社1ヵ月が経ちましたが、僕はいまだに新配属となったADと一言もしゃべったこともないですし、名前も知らないし顔も分かりません!笑
かなりトリッキーな社会人生活の始まりとなりました。
2011年の東日本大震災の時もそうでしたが、テレビ業界で働いていると10年に一度くらい「社会的な非常事態」により、いつもとは違う働き方をせざるを得ない状況が訪れます。その中でも今回のコロナは特別で、いつ終わるのかも分かりません。
まともに仕事できなくて不安…
早くちゃんと仕事を覚えたい!
と焦ってしまう方もいると思いますが、全く慌てる必要はありません。
めっちゃ暇だな。
仕事なくてラッキー!
くらいに思っていて大丈夫!
ただ、コロナから世の中が復活した時のために「今から動いておきたい!」「ちょっとでもスキルアップしたい!」というADさんたちのために、今のうちにやっておいた方が良いコロナ期間の過ごし方について解説します。
結論からいうと以下の4つのことをやっておくことをオススメします!
②Premiere Proを手に入れよう!
③Premiere Proに慣れておこう!
④『暇な時間どうするか?』の練習をしよう
詳しく見ていきます。
①会社の近くに引っ越そう!
僕はADさんには会社の近くに引っ越すことを強くオススメしています。なぜなら「通勤時間は無駄」だからです。
今はリモートワーク推進なので気づかないかもしれませんが、コロナが終わって毎日出社の日々に戻ったとしたら、確実に通勤が面倒になってきます。さらに、今後ロケや収録・編集などで帰れない日ができたとしても、家が近ければ風呂だけ入りに帰ったりできます。
徒歩圏内じゃなくてもOKですが、できればチャリ圏内がオススメ。どんなに遠くても電車で30分以内の場所に住みましょう!
実はADの給料でも港区に住めたりします。僕はAD時代は白金に住んでいました(家賃9万円)。会社から遠くに住んでるADさんは、ぜひ会社の近くに引っ越すようにしましょう↓
②Premiere Proを手に入れよう!
Premiere Pro(プレミアプロ)とはテレビ業界で使っている編集ソフトのこと。このコロナ期間を使ってプレミアを手にいれておきましょう!
というのも、実はADの最初のうちは、テレビ業界で働いているのに編集ソフトに触る機会がほとんど無い。というおかしな期間が続きます。
もちろん配属番組にもよるのですが、3年目のADでも
プレミアなんて触った事が無いので
使い方が分かりません!
なんてADがいたりします。
この1カ月ですでに実感しているかもしれませんが、ADの仕事の中心は「リサーチ」と「仕込み」であり、ディレクターがやっているような編集作業をする事がほとんど無い、というのが実情です。しかし編集を覚えなければディレクターにはなれません。
編集を覚えたければ「自分で勝手に覚えるしかない」のです。なので、Premiere Proを今のうちに自分で手に入れておくことをオススメします。
ノートパソコン(Mac Book Pro)も自分で用意しよう
Premiere Proを手に入れるためには、ノートパソコンを用意しなければなりません。
会社から支給されるのが一番なのですが、テレビの制作会社は俗世から10年ほど遅れているので、未だに社員1人にPC1台を支給できない会社が多々あります。
パソコンの数が足りないから
1人1台持てるのは3年目のADから!
という謎の決まりがあったりして、それ以外のADは複数でパソコンを共有したり、総務に早い者勝ちで申請してわざわざ借り出したりしなければならない場合があります。
しかし、ADの仕事にパソコンは必須です。
自分で自由に使えるパソコンを持っていないと、ほとんど仕事になりません。
いや、パソコンは会社で用意してよ!
という意見はもっともなのですが、マジで無いんです!ほんと遅れてるんです、テレビって!マジですみません!
社員一人一人にパソコンを配れないしょぼい会社に入社してしまったのなら、素直に諦めて自分で買っちゃいましょう!
4月にもらった初任給を使っちゃいましょう!
気をつけるべき点は、社外にも持ち運べるようにデスクトップではなくノートパソコンを買うこと。テレビ業界はMacが主流なのでMacBookProを買うようにしましょう。編集には高スペックの方が良いのでMac Book Airではなく、MacBookProの方がオススメです。13インチでもOKですが、お金に余裕があれば16インチにしましょう(高いけど)。
私物パソコン禁止の会社の場合
ひとつ注意しなければならないのは、せっかくパソコンを買ったのに
私物のパソコンは社内で使用禁止です!
なのでプレミアのインストールはできません!
というふざけた会社の場合。
いや、だったらパソコン支給してよ!
と、思うあなたが正しいのですが、残念ながら会社に訴えても新人ADの言うことを聞いてくれる可能性は低いです。その時はPremiere Proも自分で契約するしかありません…。マジで残念ですが、今後仕事を効率良く進めるためには、自分のMacとPremiere Proは持っておいた方が良いです。Premiere Proは個人契約の場合、年間2万円くらいかかりますが諦めて払いましょう!
『パソコンが無い』という理由で仕事が終わらない、とか今後マジでストレスになってくると思うので、自腹を切ってでも自由に使えるパソコンを準備することを強くオススメします。
Final Cut Proは、もういらない!
うちの番組、プレミアではなく
Final Cut Proを使ってるんですが…
という人もいると思います。
会社や番組によっては未だにFinal Cut Pro(ファイナルカットプロ)を使っている場合もありますが、あと2〜3年もすれば、テレビ業界はPremiere Proに完全移行します。今から覚えるならPremiere ProでOK。
Final Cut Pro とPremiere Proのプロジェクトデータを互いに変換できるツールもある(無料)ので、最悪の場合はそれを使ってあと数年間やり過ごしましょう。というか、最新のMacにはFinal Cut Pro7.0はインストールさえできないので、買っても無駄です。(今テレビ業界で使っているのは最新のFinal Cut Pro Xではなく7.0を使っています。理由はこちらの記事を参照↓)
③Premiere Proに慣れておこう!
さて、Premiere Proを無事ゲットできたら
イジリまくって編集に慣れましょう!
といっても、難しい操作などは必要なくて
・素材の取り込み方(デジタイズ) ・カット編集のやり方 ・音の編集の仕方 ・テロップの入れ方
くらいを覚えておけば、問題はありません。
テレビ番組はカッコイイ映像加工やテロップ入れは、編集所のオペレーターさんがやってくれるので、難しいエフェクトや映像加工まで覚える必要はないのです。(もちろん好きな人は覚えても良いですが)
先輩たちを見ればわかると思うのですが、ディレクターでもテロップ入れさえまともにできない人も中にはいます。基礎的な編集さえできれば全然OK。
全く編集ソフトを触った事が無い人でも、感が良い人なら3日間もすれば操作できるようになるでしょう。
そこから質を高めたり、作業スピードを上げたりするのは慣れですので、どんどんイジっていきましょう。
なぜ、今から慣れておく必要があるのか?
すぐ操作できるようになるなら、わざわざ自分のお金でパソコンを買ってまで今から慣れておく必要あるんですか?
と、思う人もいるかもしれませんが、個人的には今から慣れておくことをオススメします。
理由① ADは編集する機会が無い
先ほども書きましたが、ADの最初のうちは、テレビ業界で働いているのに編集ソフトに触る機会がほとんど無い。というおかしな期間が続くことがあります。
ADの作業は地味な仕事ばっかりで、つまらないためすぐ飽きることになります。もしかしたら既に絶望してる新人ADさんもいるのではないでしょうか…?
そんな中、少しでも編集ソフトに触れることでディレクターの仕事を想像できるし、気晴らしになるのです。最初のうちは編集ソフトに触ってるだけでも楽しいと思いますよ。
理由② いきなり編集を任されることになる
もうひとつの理由として、全く編集をしたことがないADが、2年目くらいになると突然、編集を任されることがあります。
今回のPRつないでくれー。
15秒、30秒、60秒、90秒の4パターンね。
明後日にチェックするから。
(えっ…?)
みたいな感じで、いきなりPR(番宣VTRのこと)を編集しなければならない時が訪れたりします!(PRはADが編集することが多い)
そんな時に、
いや、編集のやり方分からないんですけど…。
(フリーズ)
みたいになって、撃沈してしまうADをたくさん見てきました。
プレミアの操作自体は集中すれば3日間で覚えられるのですが、そもそも締め切りが3日以内みたいなことは普通にありますし、操作を覚えるだけでなく『わかりやすく面白い構成を考える』という作業も必要なので、いざとなった時に慌てて始めるでは遅すぎるのです。
早ければ入社半年くらいでPRを作る場合もあります。いきなりチャンスが訪れた時に失敗しないためにも、時間がある今のうちから慣れておくことをオススメします。
自分の番組を編集してみる
時間がたっぷり余ってあまりにも暇な人は、編集に慣れるために「自分が配属された番組を編集してみる」のもオススメ。素材をハードにコピーしてもらって自分の好きなように編集してみましょう。
編集はテキトーでも全然OK。あくまでPremiere Proの使い方に慣れるのが目的ですからね。
自分のYouTubeチャンネルを作ろう
編集に慣れるにはYouTubeチャンネルを作っちゃうのもオススメです。
『発信する』という作業はめちゃくちゃしんどいので自然と作業量が増えます。さらに「1本の映像を作り上げる」という作業感を覚えられるのでマジでオススメ。
練習なので毎日投稿する必要はありませんし、1分くらいの短い動画でも良いし、ジャンルも自分の好きなものから適当に選んでOK。顔も出さなくて良いし、しゃべりたくない人は映像と音楽をつなぐだけでも良い。しんどかったら辞めても良いし、もちろん本気でチャンネルを伸ばすのも有り。
YouTubeはテレビと違って、視聴回数や年齢・国・視聴時間など分析ツールが優れているので、「どのネタがバズるのか?」「どの層にウケるのか?」などが分かりやすい。コンテンツを『世間に当てに行く感覚』を学べるところも個人的にはオススメです。
④『暇な時間をどうするか?』の練習をしよう
やっておいた方がよいこと3つ目は『暇な時間の過ごし方』を考える練習をしてみること。
実はコロナが終息したとしても、今後ADの仕事量はどんどん減っていき暇な時間は増えていきます。
なぜなら、働き方改革があるからです。
ご存知の通り、今までのテレビ業界は超ブラックだったので、ADは24時間労働であり、嫌でも強制的に仕事漬けにさせられる過酷な環境でした。しかしある意味では『みんな24時間労働』という平等な条件であったため、ガムシャラに仕事していれば、みんながある程度の実力がついていく時代でした。
しかし今は1日8時間労働。休日もしっかり確保され、仕事量は従来の3分の1以下に減りました。今までのようにスパルタで働かされる時代が終わったため、強制的に全員が成長させられる環境は無くなりました。これからは『勤務時間以外の暇な時間をどう過ごすのか?』によってADの実力に大きな差が現れると思われます。
しかも、その時間の過ごし方は自分で決めなければなりません。
「勤務時間以外も仕事せよ!」と言っているわけではなく、仕事をやりたい人はやっても良いし、寝たい人は寝てもよし。テレビを見ても良いし、読書しても良いし、家族と過ごしても良いし、別の副業をしても良いし、飲みに行っても良いし、風俗に行っても良いのですが、自分の判断で自由に生活する時間が今後は増えるということです。何も考えずにボーッと過ごして終わっちゃう人も多いと思いますが、何かにチャレンジする人も出てくると思います。
これからは『暇な時間で何をするのか?』を自分で考えて、勝手に成長していくADしか生き残れない時代になると思います。
その辺のさじ加減に慣れておくという意味でも、このコロナ期間を練習だと思って『暇な時間をどう過ごすのか?』を考えてみるといいかもしれません。
僕はこの1カ月間、テレビと映画とYouTubeを見て寝ているだけで、何の成長もしていないのでかなり焦ってます。
まとめ
あらためて、新入社員ADさんがコロナ期間にやっておいた方が良いことは以下の4つです。
②Premiere Proを手に入れよう!
③Premiere Proに慣れておこう!
④『暇な時間どうするか?』の練習をしよう
あくまでも個人的な意見ですが、とりあえず②だけでもやっといた方が良いと思うけどなぁ。
(関連記事:視聴者が知らないテレビの裏側③「リモート収録は面倒くさい!」)
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