コロナ対策「リモート収録」は面倒くさい!
新型コロナで人を集めたロケや収録を自粛せざるを得ないテレビ番組。現在、新作の制作には『リモート収録』という形で対応しています。
リモート収録とは、↓こんな感じで、
スタジオのMC(さんまさん)と別の場所にいるゲストたち(評論家たち)を中継でつないで収録をすることです。視聴者の方からすると
あれ?意外とリモートでも番組成立してるじゃん!
と思うかもしれませんが、実は制作側からすると、リモート収録には余計な労力がかかるので、かなり疲弊しています。
リモート収録、マジで面倒なんですけど…
あくまでリモート収録はコロナ世界においての緊急対応であり、ベストな状態ではありません。早く通常の収録に戻って欲しい…。
今回は、視聴者の知らないテレビの裏側 第3弾!
リモート収録の仕組みとその面倒くさい所6つを解説したいと思います。
①出演者間の距離を取るのが面倒!
新型コロナ対策として必要になった「ソーシャルディスタンス」
これを守るため、テレビ番組では出演者間の距離を開けながら収録するようになりました。(『Mr.サンデー』より↓)
今は出演者の距離を2mほど離すというのが基本です。
しかし、実はテレビ番組では『出演者間の距離はできるだけ狭くする』のが基本です。理想は、こんな感じでギュウギュウ詰めにして収録したい↓
なぜなら、そちらの方がカメラで撮りやすいし、出演者もトークしやすいからです。
↑この距離では話づらいし、引き画がさみしい…。
(『突然ですが占ってもいいですか?』より)
テレビにとって「距離を離して収録する」ことは苦肉の策なのです。
距離が離せない場合は「アクリル板」で仕切ることもあります。
(バイキングより↓)
わざわざアクリル板を用意するの面倒くさいだろうなぁ。
②複数の場所から中継するのが面倒!
ゲストがたくさんいる番組など、同じスタジオ内で収録できない場合は、メインのスタジオとは別に部屋をおさえて、複数の場所で同時収録します。
・MCはメインのスタジオ ・アシスタントはスタジオの横 ・ゲストは楽屋
というのように、いくつもの場所から中継しなければならないのが超面倒!
部屋が複数に分かれると、部屋ごとにカメラが必要ですし、何かあった時に対応するディレクターも必要ですし、パソコンやWi-Fiなどの機材も必要です。スタッフや機材を各部屋に分散させなければならないのです。
Mr.サンデーの場合は、東京のスタジオと
大阪のスタジオと、
楽屋や自宅など、あらゆる場所から中継をつないでいるようでした。
これは大変…。
③自宅中継の場合はさらに面倒!
最近はタレントさんの自宅から中継をつなぐことも増えています。
これを実現するには、配信用のパソコンや機材をあらかじめスタッフが自宅に持っていかなければなりません!操作方法も説明しなければなりません!収録前にスタジオとつないで入念にテストする時間も必要になります。
ゲストが1人ならまだ良いですが、複数いる場合もありますし、地方だったら届けるのも大変です!
面倒なので、パソコンを自分で持っていて配信に慣れているタレントさんの場合はお任せしちゃう事もあります。(もちろんテストはやります)
④収録中に回線が止まるから面倒!
収録前には入念なテストを行うのですが、どんなにテストしてもなぜか本番中に回線が途切れたりするので、マジで面倒です!!
『東大王』の生放送では、回線が途切れて「5人中2人が回答できない」というシュールな展開になっていました!笑。それでも生放送なので番組は止められません!
(回線が強い人が有利なクイズ番組!笑)
実は生放送ではなく収録だったとしても、回線が止まったからといって収録は中断できません。本番には「流れ」がありますし、収録時間が無限にあるわけではないので、回線の復活をずーっと待っているわけにはいかないのです。何とかして回線を復活させます。
⑤編集も面倒くさい!
生放送であれば関係ないのですが、
リモート収録は編集するのがめちゃくちゃ面倒くさいです!
特に面倒なのは「音の編集」
しゃべっている途中に音声が途切れてしまうと、そこでせっかく大きな笑いが起こっても、「音声が聞き取りにくい」という理由で丸ごとカットせざるを得なくなったりします。
このくだり、せっかくウケたのに
音が聞き取れなくて視聴者に伝わらない…
またリモート収録はトークに微妙な間が空いてしまったり、映像と音声がズレてしまったりします。
うまく編集で調整しないと…
と思って編集で直そうとするのですが、実は「リモートが原因の微妙な間は編集で切るのが難しくて切れない場合がある」ため、ひとつずつ調整しているとものすごく時間がかかるのです。
細かい部分が気になってしまうディレクター(僕)は延々とオフラインが終わらないでしょう…。
⑥分割画面の編集も面倒くさい!
リモート収録の番組は、編集に分割画面を多用します。
例えば『ホンマでっかTV!?』では2分割にしたり、
3分割にしたり、
4分割にしたり、
5分割にしたり、
分割画面を編集に多用しています。
これは「話している人」「話しかけられている人」「周りで話を聞いている人」を同時に見せるための編集であり、分割画面を使うことで「みんなで一緒に話してる感」を演出しているのです。
通常のスタジオ収録であれば複数の人間を同時に映すことができるので、分割画面がなくても「みんなで一緒に話してる感」を演出できるようになっています(3人でも10人でも同時に映すことができる↓)
しかし、みんなが1人ずつ別の場所にいる「リモート収録」では、分割画面の編集にすることで「みんな一緒だよ感」に対応しています。
しかし、この分割画面がとにかく面倒!
ゲストが増えれば増えるほど分割画面のパターンも増えていき、編集の労力が増していきます。
分割画面なんて使わなきゃいいじゃん!
と思うかもしれませんが、トーク番組は1人で話していても面白く見えません。「みんなでワイワイ話してる感じ」がないとつまらなく見えてしまうのです。
結論「コロナ早く終われ!」
以上、視聴者が知らないテレビの裏側 第3弾
『リモート収録はとにかく面倒くさい!』というお話でした。
コロナよ、早く終わってくれ…。
コメント
こういう、前時代的なテレビの姿勢が、国民のコロナ対策を守ろうという意識を薄れさせ、コロナ感染を拡大させていった一因であるという自覚を持って欲しいです。