今回はちょっとマニアックな話でテレビ業界以外の人には説明がわかりにくいかもしれません。
闇営業問題でアメトーークやロンハーの再編集が話題になりましたが、実は、他局に比べてテレビ朝日は何か問題が起こった時に
「再編集しやすい」環境にあります。
それは「スタジオ収録のやり方」に秘密があるのですが・・・
テレビ朝日は「全パラ収録」
実は、テレビ朝日の番組は他局に比べて
テープがたくさん回っています!
例えば、スタジオ収録にカメラが10台あったとします。
通常の(他局の)スタジオ収録では、スタジオに10台カメラがあったとしても、実際に録画されるテープは5本くらいしか回っていません。
なぜなら、
10台のカメラの映像の中から、
ディレクターが欲しい映像を選んでカメラを切り替え、
(↑スイッチングと言う)
その切り替えた映像だけをテープに録画するからです。
例えば、
カメラ① MC
カメラ② 話してるゲスト 1ショット
カメラ③ 話してるゲスト 2〜3ショット
カメラ④ 周りで話を聞いてるゲスト
カメラ⑤ スタジオ全体
みたいな感じで、
テープにあらかじめ役割を決めておいて10台のカメラをスイッチングします。
これは、どうせ編集の時には10台のカメラから「1つの映像」を選ぶことになるので
10個もあると大変だから
収録中にある程度、使う画を絞っちゃおうか。
という感覚です。
つまり、10台全ての映像を録画しているわけではなく、
ディレクターがスイッチングをしながら使いそうな映像をリアルタイムで10個から5個に絞っているのです。
しかし、テレビ朝日の番組は違います。
スイッチングもしているのですが、
10台カメラがあったら10本、全ての映像をテープに録画しています。
全てのアングルの映像がそのままテープに記録されるのです。
(これを「全パラ収録」と言います)
たぶん、全パラ収録をしているのはテレビ朝日だけだと思います。
なので、とにかくテレビ朝日の番組は素材量が豊富。
全ての瞬間、全てのアングルの素材が残っており、
選ぶ画がたくさんあるので「撮りこぼす」可能性がほとんどありません。
全パラ収録は撮りこぼしが少ない
誰かが急にカットインして喋り始めた時などはスイッチングが追いつかなくて「喋り始めが撮れてない」なんて事がよくありますが、
テレ朝方式であれば「喋り始めから」しっかり撮れる。
他局の番組では、テープ①に宮迫さんが映っていたら残り4本のテープの中から代わりのカットを探さないといけないですが、
テレビ朝日の場合は、テープ①に宮迫さんが映っていても、
残り9本のテープから別アングルを探せば良い。
単純に映像の選択肢が多いのです。
ちなみに「喫茶店大好き芸人」で
後藤さんを別撮り!?編集がすごい!
という噂がネットで飛び交っているようですが…、
別撮りなんてしませんよ。
別撮りする方が再編集大変です…。
そんな意味のないこと絶対にしません。
あれは、後藤さんの座り位置が一番端で、
すぐ隣が宮迫さんだったので1ショットの映像しか使えず1人孤立してるように見えていたので「もしかして1人だけ別撮りしたの?」なんて誤解が生まれてしまったのでしょう。
見た感じだと、
後藤さんワンショット専用に
1台カメラが回っていたように思えたので
宮迫さんとツーショットで映っている場面が多い蛍原さんに比べると、後藤さんのカットが使いやすかったのでしょう。
今まで僕がやってきたテレ朝の番組では
全てこの「全パラ収録」でやっていたので
たぶん、アメトーークもロンハーもそうなんだと思います。
たまにアメトーークで、
「実は、こんなシーンが映ってました!」
みたいな、明らかに予想外な出来事でもカメラにその場面が映っているのは、全パラ方式だから成せる業だと僕は勝手に思っています。
(でも、そうでないとありえないシーンとかある)
全パラ収録は効率が悪い!
撮りこぼしがないなら、便利じゃん。
みんな全パラ方式でやればいいんじゃないの??
と、思うかもしれませんが、
テープは1本1万円?くらいするのでとにかくお金がかかる!
あと、ディレクターにとっては
素材量が多ければ多いほど編集が大変です!
単純に選ぶ画が多くなるし、素材量が多い分ハードディスクの容量が足りなくなったり、映像が重くてパソコンが動かなかったり…
テレ朝の番組のスタジオ編集はとても大変です…。
少なくできるのであれば素材は少ない方が良いのです。
何でテレ朝だけ全てのテープを回すんだろう?
そういう会社の方針なんだろうなぁ。
コメント
素材量が多ければ多いほど編集が大変。
必要なカットを最小限で撮りきるのがディレクターの腕の見せ所でもあるのです。