コミュニケーション能力が低いADは出世が遅れる!?
「テレビ業界に向いている人」という項目の中に『コミュニケーション能力が高い人』というものを就活サイトなどでよく見かけます。
その通り、テレビ業界を生き抜く上でコミュ力が高いというのは重要なことです。
ディレクターもそうですが、特にADのうちは「元気で明るい!」というのが意外と大事で、コミュ力が高いADはプロデューサーやディレクターたちから信頼され出世も早い傾向があります。コミュ力が高ければ仕事で多少ミスしてもカバーできるし、物事をうまく運んでいくことができるでしょう。
一方、僕のようにコミュ障で暗いADは苦労します。
僕はこの業界に入る前は、知らない人とはとにかく喋れなかったし、ちょっとでも喋ろうものならすぐに脂汗をかいて、会話が止まってしまいます。大学時代、クラスの友達は一人もいなかったし、部活(サークル)の人でさえ、仲良くなるのに時間がかかりました。
新人ADの頃は挨拶をしても声が小さいので届きません。取材先に電話をしても声が小さいので届きません。ロケ中に後輩ADに指示しても声が届きません。プレビューでナレーションを読んでも声が届きません。知らない人とは面と向かって話せません。
テレビ業界では、コミュ力が高い人の方が有利です。
てか、コミュ力が高い人はどんな仕事でもうまくやっていけるんじゃないか??人生イージーモードですよ彼(女)らは、ホントうらやましい…。
ただし!
僕は『コミュ障歴=年齢』なのに、コミュ力が必要なテレビ業界の中で14年間も生き残り続けています。現在はディレクターという立場ですが、タレントや取材先の人、カメラマンや衣装・メイクさん、テレビ局の偉い人などなど、多くの人たちとコミュニケーションをとりながら仕事をしています。
コミュ障なのに、なぜ14年間も生き残っているのか?
結論から言うと『ADのうちにコミュ障を(ある程度)克服できたから』です。さらに、コミュニケーションを極力取らないでも仕事できるような方法を模索してきたからです。
ここからは、コミュ障だけどテレビ業界で働きたいorすでに働いている人たちに向けて『コミュ障でもテレビ業界でうまくやっていく方法』について解説します。
そしてコミュ障で困っている人たちのために、僕がコミュ力を高めるために実践した『コミュ障を克服するための方法』についても解説します。ぜひ最後までご覧ください。
コミュ力が必要な場面は「3つ」だけ!
「コミュ力が必要」とされているテレビ業界ですが、実はコミュニケーションを取る場面というのは以下の3つしかありません。
②取材先の人と話す
③タレントと話す
この3場面においてのみ注意すれば、意外と仕事に支障はでません。
①番組スタッフ(同期・先輩・技術など)と話す
番組制作にはスタッフとの連携が必要不可欠です。
コミュ障なんで、すみません!
(報連相、一切放棄!)
では仕事になりません。必要最低限のコミュ力を発揮して乗り切る必要があります。
ですが、安心してください。
まず同期についてですが、これは「仲が良い同期」とだけ話していれば問題ありません。あまり話したことがない同期、番組が違う同期とは必然的にこれからずーっと話す機会が無くなるので、そもそも仲良くする必要がありません。
先輩(ディレクターやプロデューサー)については、仕事の特性上向こうから話しかけてくれます。テレビ番組の制作は、必要な仕事が生じたら上から下に指示が飛んで来るシステムになっています。
あの、ディレクターさん、
僕は何をしたらいいでしょうか?
などど、こちらから主体的に話しかける必要はありません。勝手に向こうから指示が飛んで来ます。言われたことにしっかりと「対応」していればそれでOKです。
なんかあの先輩、話しかけづらいな…(モジモジ)
みたいな状況はほとんど無いので安心して下さい。ただし対応だけはしっかりしましょう。
②取材先の人と話す
ADが一番コミュニケーションを取るのは取材先の人です。
リサーチや仕込み際、ロケの詳細を伝えたり情報を確認したり、一番多くの時間を費やすのが取材先の人です。
例えば『山形のラーメン屋さんでロケ』なんてネタがあった場合、条件に合うお店を探すためにタウンページで「山形市 ラーメン屋」で検索して出てきたお店を、片っ端から全部電話する!なんていう作業が出てきたりします。
初めて電話するときは緊張で
あ、あの…、フジテレ…いや、日本テレビの『○○』という番組のぼやきと申しますが、突然すみません。
おたくのお店のソーメン…、いや、ラーメンについて聞きたいのですが…(しどろもどろ)
みたいな感じで、うまく話せないかもしれません。
しかし結論からいうと、作業量が多すぎて『そのうち嫌でも慣れる』ので安心しましょう。
最初は緊張で話せなくても、10軒も電話すれば最初の自己紹介くらいはスラスラと話せるようになります。そして、20軒を超える頃には具体的な質問内容までスラスラ話せるようになります。100軒を超える頃には、もはや「恥ずかしい」なんて気持ちさえも忘れて、ただただ無心で自然と言葉が流れ出るようになっているでしょう。
そして山形のラーメンについて、日本で一番詳しい奴になっているはずです。
スパルタのように思えますが、コミュ障克服のための訓練だと思って頑張れば意外と乗り切れます。というか仕事なので強制的にやらなければならない状況に追い込まれます。頑張りましょう。
③タレントと話す
ADさんのうちはほとんど機会がありませんが、ロケ中にお弁当を渡したり、移動を誘導したり、細かい部分でタレントさんとコミュニケーションが必要になる場合があります。
コミュ障ADにとっては最も地獄な瞬間です。相手が大御所や売れっ子タレントさんだとなおさら緊張で言葉が出て来ません。世間話などは絶対せずに、事務的なやり取りだけ伝えて速やかにやり過ごす必要があります。
僕のオススメはとにかく「目を合わせない」こと。
不思議なもので目が合わないと会話が成立することがありません。
知らない人との雑談が苦手な人は目を合わせなければ、会話が始まることもありません。あさっての方向を見ながら必要最低限の説明だけをして、すぐにその場を離れるようにしましょう。
コミュ障の特徴「打ち解けるとめちゃくちゃ話す」
コミュ障の人は知らない人と話せないだけで、仲良くなった人とは途端に本心を表してしゃべりまくる人がいます。
僕もこのタイプなのですが、いくらコミュ障の人でも長く番組で付き合ってる同期や先輩AD、お世話になっているディレクターとは仕事をしていくうちに自然と仲良くなってきます。(もちろん苦手な人も出て来ますが…)
コミュ障だから、私は誰とも話せない…
と落ち込むのではなく話せる人とだけ話していれば大丈夫。
みんなと仲良くなる必要はない、ということを理解して下さい。
コミュ力を上げる方法「ナンパする」
さて、ここからはコミュ障で困っている人たちのために、僕がコミュ力を高めるために実践した方法を解説します。
それは「ナンパ」です。
「ナンパをするとコミュ力が上がる」なんて胡散臭く聞こえるかもしれませんが、実はこの方法、かなり効果があります!笑 今僕が(ある程度)コミュ障を克服できたのは、先輩ディレクターにナンパに連れて行かれたおかげです。「知らない人にペラペラ話しかける度胸」みたいのはここで身につきました。
ただし、コミュ障一人で街に繰り出すのはかなりハードルが高い。
僕の場合は「先輩ディレクターが超肉食で、強制的に連れて行かれる」という状況がありました。ロケの後に毎回ナンパに連れて行かれる…。声をかけてこないと怒られる…。そういう昔ながらの先輩がいない人は中々難しいかもしれません。今じゃパワハラでできないだろうし、女性の場合はナンパなんてやってられないでしょうし…。
ナンパが難しい場合は「街頭インタビューで慣れる」という方法もあります。
バラエティの場合は街頭インタビューをする番組が多いです。しかも
面白いインタビュー撮って来てよ!お願いね!
なんて、ディレクターに頼まれてADが撮影に行くことも多い。
コミュ障は自発的に知らない人と話すことは難しいので「仕事のため強制的にやらせられる状況」が必要です。
街頭インタビューなどは、例えうまくしゃべれなくてもカットできるし、何回もチャレンジできるので練習にはうってつけだったりします。しかも「仕事だから話しかけている」という大義名分があるため、ナンパよりもハードルは低い。
「ナンパ」か「街頭インタビュー」か。
どちらかの方法で、少しずつコミュ障を改善していきましょう。
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