2019年、ついにテレビの広告費がネットに抜かれました!
テレビの広告費は1兆8612億円(前年比96.6%)。
インターネットの広告費は2兆1048億円(前年比119.7%)
ついに抜かれちゃったか〜
しかも、テレビは3年連続のマイナス成長。
一方、インターネットは2005年からずーーっと成長し続けていて、ここ6年間は連続の2桁成長です!
(詳しく知りたい方はこちらのサイトを↓)
ネットのおかげで、日本の広告費の総額自体は2012年からずーーっと増え続けています(6兆9381億円)。インターネットは好調なのにテレビはどんどん後退。新聞・雑誌・ラジオにいたっては虫の息です。
まあ、誰もが予想していたことではありますが、広告費に頼りまくっているテレビ業界は、今まさに危機を迎えています!
マジでやばいっす!
深刻っす!
笑えないっす!(心の声)
今回は「広告費の削減が今まさにテレビ業界に与えている影響」について。広告費が減るとテレビ業界はどうなってしまうのか?中にいる人間としてヒシヒシと実感していることを解説します。
①制作費が減る
広告費が減ると、まずは制作費が削られます。
テレビは「オンエア1回」に対して制作費が割り振られているのですが、そのオンエア単位あたりの予算が減るので、番組にかけられる金額が少なくなってしまいます。
よって、プロデューサーは「いかにして予算を減らすのか?」を考えて実行しなければならないのです。
②大型企画が減る
制作費が削られると大がかりでお金がかかる大型企画ができなくなります。
具体的には、
・特別なセットを組む企画 ・特別な場所を借りてロケする企画 ・遠い場所に行く企画(海外・地方など) ・たくさんの人数が必要な企画 ・長い準備期間が必要な企画
などは、すべてプロデューサーからNGが出ます。
なので、できるだけいつも通りのセットで、いつも通りの場所で、こじんまりとした、すぐに実行に移せる企画だけしか放送できなくなりつつあります。
テレビでハデな企画を見る機会も失くなってきました。
ぶっちゃけ人気YouTuberや、大企業が運営するネット動画の方がテレビよりも多くの予算を持っていたりします。
落とし穴を掘ったりできるバラエティ番組は、まだ予算がある方。
これからも時代に負けずに頑張って欲しい。
③大物芸能人をキャスティングできなくなる
大型企画に規制が入ると同時にギャラが高い芸能人をキャスティングできなくなっていきます。
この企画を成立させるには
どうしてもあのタレントさんが必要なんだ!
と、いくらディレクターが訴えても、
あの人ギャラ高いから無理!
別の案、考えて!
と、プロデューサーから一蹴されます。
「大物芸能人」として世間に認知されているタレントさんたちほどギャラが高い傾向にあるので、必然的にその方達をキャスティングできなくなります。なので、どんなに面白い企画でも、ギャラが高いタレントさんありきの企画だったら実現しない場合があるのです。
④オンエアが減る(再放送が増える)
大型企画をやめてタレントのギャラを節約しても、まだ制作費は足りません。やがてオンエアの回数が減ってきます。
オンエアが無くなった分は再放送や総集編が放送されます。
再放送や総集編は、再編集するのにちょっとお金がかかるくらいで、かなりの経費削減になります。
お気づきの方もいると思いますが、今年のお正月なんて異様に再放送が多かったですよね…。お昼から夕方にかけてどの局もほとんどが再放送or総集編…。
特に「人気ドラマ一気見せ!」みたいな感じで延々とドラマの再放送が流れてる局がありましたが、これも全ては制作費が減ったことによる影響です。我々はお金がなくてお正月の特番も作れないのです!
てか、そのドラマに興味がなかったら終わりじゃん!
お正月だけじゃなく、最近はレギュラー番組でも再放送や総集編を挟むことが多くなってきました。制作費削減と働き方改革のダブルパンチで、これからもっと頻度は高くなると思います。
⑤スタッフの人数が減る
オンエアの回数が減ってもまだ制作費は足りません。
ここまで来るとついにスタッフの人数が減ってしまいます。
要は、クビにされちゃうわけですね。
もちろん、僕のようなフリーのディレクターは切られる可能性があります。しかし、残念ながら僕よりも真っ先に切られてしまう人たちがいます。
それは、放送作家と呼ばれる人たちです。
なんで放送作家が真っ先に切られてしまうの?
それは、番組制作において「一番必要がない」と思われている人たちが放送作家なのです…。(放送作家の方々、すみません…)
なんで放送作家は必要ないと思われているの?
それは、放送作家の存在意義が薄いからです!
(放送作家の方々、すみません…)
放送作家の存在意義は2つだけ。
・面白いアイデアをくれること
・文章(構成)が書けること
しかし、この2つの能力はディレクターが兼ね備えていることが多いので、作家さんがいなくても全く問題ないことが多々あります。(放送作家の方々、すみません…)
しかし、もちろん優秀な作家さんもたくさんいて、我々も助けてもらうことがあるので、要は能力次第ということなんだと思います。
作家さんの次にAD、ディレクターの順番で切られる感じですかね。
しかし、真っ先に切られてるのは、やっぱり作家さんなんだよなぁ…。
⑥給料&ギャラが減る
作家さんがいなくなっても、まだ制作費は足りません。
いよいよ生き残ったスタッフたちの給料が減らされます。
僕のようなフリーのディレクターの場合は、ギャラが減らされてしまいます。今のところ僕はまだ大丈夫ですが、4月からはどうなるか分かりません。
特番のギャラも、割安のケースがどんどん増えています。
手前味噌で申し訳ないのですが、
僕の能力はどんどん上がっているのにギャラはなぜか下がっていきます!
実はテレビ業界が抱えている最大の問題はココだと思います。
能力が上がっても給料(ギャラ)が増えることはない。
ADがディレクターになっても給料は上がらないし、ディレクターが演出になっても大してギャラは上がりません。局員の給料もどんどん減っています。これでは優秀な人材がどんどん他業種へ流れていきます。
この危機感は僕だけでなく、他のテレビマンも抱えているのではないでしょうか…?特に若手はテレビの未来に希望が持てないのでは…。
これからは人件費を削らざるを得なくなった制作会社から、どんどん潰れていくと思われますが、これはまた別記事で解説します。
2020年代、テレビはどうなってしまうのか…?
これだけネットが普及する今でもリアルタイムにこだわる「テレビ」というメディア自体が古いのは間違いありません。これからもっと衰退していくと思われます。
その一方で、動画コンテンツ自体は全盛期を迎えようとしています。
どのタイミングで
「リアルタイムの指標から抜け出すのか?」
が、これからのテレビの行く末を決めると個人的には思っています。
要は「早くテレビを捨ててネットに移れ」ってことですね。
テレビ番組は「テレビで放送する」だけではなく、ネット上でも放送できる体制さえ整えば、再び覇権を握るチャンスはあると思います。
その一つのチャンスがTVerだと思うのですが…↓
コレも問題が山積み。
ふーむ、結局どんどん衰退しちゃうんだろうなぁ。
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