ADは入社した瞬間から
常に「辞めようかな」と考えているものですが、
1年目、3年目、5年目の時期に実際「決断」する人が多いです。
ADの1年目、3年目、5年目に何があるのか?
それぞれの時期に直面する危機とその解決方法について、個人的な体験談も踏まえつつ書いていきます。
①1年目に何があるのか?
ADが辞める時期で一番多いのが一年目です。
ADの半分は1年目で辞めます。
同期が10人いたとしたら、翌年にはいつの間にか5人になっています。
仲良くなる暇もありません。
僕が勤めていた制作会社も友達の制作会社もそうだったらしいので、多分、この統計は合ってると思います。
【1年目に直面する危機とは?】
「現実を思い知る」というのが1年目に直面する最大の危機です。
テレビ業界は、表向きは華やかですが実際の仕事内容は地味で重労働です。
特にADの仕事はリサーチや仕込みといった面倒な作業がほとんどで、新入社員のADたちは、入社前の理想と現実のギャップに苦しみます。
(詳しいADの仕事内容は過去記事をご覧ください↓)
理想とのギャップに戸惑ってしまうと
思ってたのと違うから辞めよう!
という決断に至ります。
多分、ほとんどのADの入社理由は
①面白い番組を作ってみたい!
②芸能人に会いたい!
↑この2つだと思います。しかし、残念ながら・・・
①面白い番組に配属される可能性
これは、ほとんどゼロです。
自分の好きな番組、いつも見てるような番組に都合よく配属される事はまずありません。
考えてみてもらいたいのですが、
今「大好きで毎週必ず見てる番組」っていくつあるでしょうか?
テレビ業界を志望するくらいなので「無し」って事はないと思いますが、せいぜい3つか4つくらいだと思います。
異常なテレビっ子である僕でさえも20個ちょっとです。
無数にある番組の中からピンポイントで好きな番組につける可能性は限りなく低いことが分かると思います。
②芸能人に会いたい!
逆にこれは、すぐ実現されます!
ゴールデンのレギュラー番組では
通常、2週間に1回スタジオ収録があるので
2週間に1回は芸能人に会えます!
こじんまりとした深夜番組や小規模な番組だとタレントさんとスタッフの距離が近くて、ADの名前でも覚えてもらえるような場合もあります。
②の夢は入社後あっさりと実現されるので、ある意味、すぐに満足してしまうのです。
そういう人たちは、一年目のうちに辞めていきます。
【1年目。危機の解決方法】
自分の好きな番組に配属されなかった場合でも、やっているうちに、意外と楽しくなることがあります。
それは番組の面白さ、というよりも
・面白い先輩がいる ・テレビでしか入れないような場所でロケできる ・「面白さの仕掛け方」が分かる
などなど、色々あります。
「番組の面白さ」ではなく、小さな仕事の面白さを見つける事ができれば一年目の危機は回避できます。
もちろん、仕事しているうちにその番組自体を好きになることが一番理想です。
②3年目に何があるのか?
ADの仕事は2年もすれば大抵のことはできるようになります。
能力の高い子は1年目で、一般的な子でも2年目終盤くらいになるとチーフADになる実力が備わってきます。(ポンコツは除く)
というか、ADの仕事は2年もやれば十分であり、
それ以上やっても同じ業務の連続なので、時間をかけても大して成長する事がありません。
なので、AD3年目になると、
「ADの仕事は飽きたけど、ディレクターになれない!」
というジレンマに陥るのです。
【3年目に直面する危機とは?】
ADの仕事に飽きるというのが最大の危機です。
チーフADでバリバリ働ける実力はあるけれど、ディレクターになる実力はまだ無い。
ここで「つまらないから辞めよう」という決断に至る事が多いのです。
しかし、3年目くらいになると
簡単なオフラインを任されたり、短い尺のVTRを任されたり、ディレクター業務も少しずつやらせてもらえるようになります。
もちろん、AD業務はしっかりやりつつですが、
会社も「こいつを早くディレクターにしよう」というモチベーションが出てくるのが3年目の時期です。
ここに、心が折れないための突破口があります。
【3年目。危機の解決方法】
ADの仕事は適当にサボりましょう!
これが最善の解決方法です。
3年目くらいになると、サボりながらでも最低限の仕事をこなせるぐらいのスキルはついているはず。
将来何の役にも立たないADの仕事なんて片手間でOK!
早くディレクターになれるよう、ディレクター業務に自分の全てのリソースを思いっきりぶち込みましょう!
残念ながら3年目のADはまだ心に余裕があるのか、与えられたチャンスを大切にしない人が多いです。
しかし、ここで失敗すると、
やっぱりあいつは、まだまだだな
というレッテルを貼られてしまい、AD生活が長〜くなります。
ディレクター業務のチャンスが来たら、
ADの仕事は後輩にうまく振り分けてとにかく全力で取り組みましょう。
③5年目に何があるのか?
5年目になると、たくさんいた同期はほとんど辞めてしまっています。
むしろ同期が残っている方がレアになります。
5年目のADは毎日のAD業務を完全に惰性でこなしており、面倒な仕事は後輩ADに任せて自然とサボるようになっています。
「楽しようと思えばいくらでも楽できる」ポジションであり、ディレクターに昇格することを考えると、あまり良い状態ではありません。
年齢が27〜28歳くらいになり、
本当にディレクターになれるのか?
他業界に転職するなら、ラストチャンス…
みたいな不安でいっぱいになる時期でもあります。
【5年目に直面する危機とは?】
惰性で仕事をやり続けているというのが最大の危機です。
5年目になると、
本当は辞めたいのに辞められない
という状況に陥っているADも多くなります。
その一方で、ディレクター業務を何回かこなしているうちに
「もう少しでディレクターになれそう」なのか、
「まだまだ時間がかかりそう」なのか、
自分のポテンシャルを何となく自覚している時期でもあります。
いや、俺には実力がある。
悪いのは出世させない会社だ
と確固たる自信があるADならOKなのですが、
僕の知ってる5年目以上のADは
ディレクターにはなれなさそうだな…
でも、今さら辞められないんです…。
という人がほとんどです。
【5年目。危機の解決方法】
本当にディレクターになりたいのか?を一回よく考えましょう。
ディレクターという職業に本当に魅力を感じるのか?
テレビって本当に面白いのか?
貴重な人生の一時を捧げるほどの価値があるのか?
自信を持って「続けたい!」のであればそのまま続けた方が良いです。
しかし、ちょっとでも疑いがあるのならば転職した方が良いと思います。
「見切りをつける」事も大事な能力ですし、辞めるなら早い方が良いです。
僕は6年半もADをやったので5年目のADの複雑な気持ちはすごく分かります。
僕の場合は
「やっぱりディレクターになりたい。」 「自分にはポテンシャルがあるはず。」 「出世できないのは会社と環境が悪い。」 「スキルだけ盗んで早くこの会社から脱出しよう」
という確固たる目標があったので、最後まで頑張れました。
ズルズル惰性で続けてしまうのが一番よくないです!
5年目になれば自分のポテンシャルが自覚できるはずなので、
ちょっとでも不安がある→転職
を、しっかりと決断して、決めたら迷わず突き進みましょう。
以上、この記事を決断の参考にしてもらえたら嬉しいです。
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