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テレビディレクターの仕事内容!現役テレビマンが解説【大変・責任】

ディレクターの真実

テレビディレクターは番組制作の責任者

テレビディレクターとは
「テレビ番組を実際に作っている人」のことです。

具体的には、企画を考え、構成(台本)を考え、ロケをして、編集して、完パケる(完成させる)という仕事です。

VTR作りの総指揮をする人、映画でいうと「監督」にあたります。

面白い番組になるかどうかはディレクターの腕にかかっています。

企画自体は、放送作家やプロデューサーなどスタッフみんなで考えるのが普通ですが、その企画を「ちゃんと形にする」のがディレクターの仕事。

面白い企画だ!と思ってもロケで失敗したり、編集がヘタだったりすると
完成したVTRがつまらないなんて事があります。

その責任は全てディレクターのせいになります。

マジでディレクター1人のせいになります。

完全にディレクター1人のせいになります。

ただ、完成したVTRが面白かったりすると

みんなで考えた企画なのに、

プロデューサー

ありがとー。

君のおかげだよ、やるねー

なんて、おいしいとこ取りしちゃう事もあります。

良くも悪くも、番組の質において責任を持つのがディレクターです。

 

「演出」が一番偉いディレクター

ディレクターの中にも序列があって、
偉くなると「チーフディレクター」
一番偉くなると「演出(総合演出)」と呼ばれたりします。

演出は全ての決定権を持っている番組のリーダーです。

ワンピースで例えると、演出は「元帥(センゴク)」
チーフディレクターは「大将(黄猿・赤犬・青雉)」
その他のディレクターが、中将や少佐たち。
ADが雑用(コビー)といった感じです。

全ての決定権を持っている演出がうまく機能しないと、番組は崩壊します。

 

TVディレクターの仕事内容とは?

以下、実際のテレビ制作の流れに沿って、ディレクターの仕事内容を具体的に解説していきます。

ディレクターは常にADと二人三脚で動いています。仕事の流れは以前書いた『ADの仕事内容』と基本的に同じなので、比較しつつ見てもらうとADとの違いも分かってくると思います。

バラエティ番組のだいたいの仕事の流れはこちら↓

①ネタ会議 ②リサーチ ③台本作り ④ロケ ⑤オフライン(編集)⑥プレビュー(試写会)⑦サブ出し編集 ⑧サブ出しMA ⑨収録準備(台本作り) ⑩スタジオ収録 ⑪本編編集 ⑫本編MA ⑬情報確認(コンプライアンスチェック)⑭納品(オンエア)
※週1レギュラー放送のバラエティ番組を想定しています。

これらは全てディレクターが中心となって進んでいきます。
(画像はテレビADを描いたドラマ『私のおじさん』より)

①ネタ会議


(番組プロデューサー、ディレクター、作家などが集まります)

まず番組で取り扱うネタや、出演するタレントを会議で決めなければなりません。
ディレクターの仕事は、演出が中心となって、プロデューサーと連携を取りつつ、企画の大枠を決めていきます。

ネタ会議で企画の方向性が決まったら、担当ディレクターにネタが割り振られます。以後、演出と話し合いながら、各ディレクターたちが企画を実現していくことになります。

 

②リサーチ

会議で決まったネタは、VTRにするべく情報を深く掘り下げなければなりません。

(ディレクター役だった城田優さん↑)

ディレクターは

ディレクター

これと、あれと、それと調べといて!

という感じである程度の方向性を示して、ADにリサーチをしてもらいます。

(↑リサーチを振られ面倒くさそうなAD)

ADの人数が足りなかったり、働き方改革で帰ってしまった時はディレクター自身でリサーチをしなければなりません。

ロケ前に現場を下見(ロケハン)しに行くこともあります。

このリサーチ内容によってVTRの質が変わってくるので、手を抜けない大事な仕事です。

 

③台本作り


リサーチの内容をもとに、ディレクターはロケの台本を作ります。

ディレクターが台本を書いたら演出や作家にチェックしてもらい、

演出

この部分、こっちに変えたら?

こうすればもっと面白くなるんじゃない?

というアイデアをもらいながら、より台本をブラッシュアップしていきます。

その台本に沿って、ADたちがロケをする場所、人、小道具などの全てを用意してくれます。その進捗状況を常に把握して、準備に不備が無いかをしっかりチェックするのもディレクターの仕事です。しかし、ADの手が回らない時はディレクター自身で準備しなければなりません。

 

④ロケ


いよいよロケ本番!
ディレクターの最大の使命は面白い画を撮ってくることです。

技術やタレントたちと協力しながらロケを盛り上げ、段取りよく時間内にスムーズに終わらせるのが理想です。しかし、どうしても面白い画が撮れない時は、粘ることも重要です。

ロケはディレクターの力量で大きな差が生まれます。
台本に縛られず、現場の雰囲気に合わせて柔軟に方向性を変えられるようなディレクターになると、仕上がりも面白くなります。

 

⑤オフライン(編集)

ロケの後は「オフライン(編集)」が待っています。
(編集ソフトは「Premiere Pro」か「Final Cut Pro 7」を使っています)

【オフライン】とは
パソコン上で編集をすること。
ディレクターの仕事の中で最も重要、かつ過酷な仕事。

いくらロケが盛り上がっても、オフラインが下手くそだと、VTRの仕上がりはつまらなくなってしまいます。

逆にロケが下手くそでも、オフラインが上手いと仕上がりは面白くなったりします。(もちろん、両方上手いのがベスト!)

このオフラインでVTRの面白さの8割は決まります。ディレクターにとっては勝負所、神経と体力をすり減らす仕事です。

 

⑥プレビュー(試写会)

オフラインが終わったら「プレビュー(試写会)」が行われます。

【プレビュー】とは
演出、プロデューサー、作家など、番組のお偉いさんたちに向けてオフラインを見せること。いわゆる「試写会」

プレビューはディレクターが最も緊張する瞬間です。
自分が寝ないで作ったVTRが「ウケるのか?スベるのか?」

ウケた時はホッとしますが、スベった時は地獄です。

若手のうちは

演出

何これ、全然面白くない。

全部やり直して。

みたいなことも普通にあります。

その時はもう一度オフラインのやり直し。
演出が納得するまで直します。

 

⑦サブ出し編集

プレビューが終わったら、オフラインデータを元に編集所で映像を加工したり、テロップを入れたりします。

↑こんな感じの編集所に一日中こもってサブ出し編集を行います。

【サブ出し】とは
スタジオ収録に流すロケVTRのこと。
(要は、タレント達が「おいしそー」「すごーい」とか言いながらスタジオで見ているあのVTRのことです)
スタジオ内にあるサブコン(副調整室)からVTRを流すので「サブ出し」と呼ばれている。

編集所には「オペレーター」と呼ばれる編集マンがいて、テロップをカッコよく入れたり、映像を加工してくれます。

ディレクターの仕事は、テロップや映像加工のイメージをオペレーターに伝えて、映像を完成させることです。

例えば、下のテロップ「ヤッテミー!!5周年!初生放送で限界マックス★」のテロップを入れてもらう場合。

ディレクター

二行に分けて下さい。

「初生放送で」は緑色。

「で」だけ小さくして下さい。

「限界マックス」は赤文字にして下さい。

あ、やっぱりマックスは英語表記(MAX)で!

というように、細かくイメージを伝えると、その通りにオペレーターさんがカッコよくテロップを入れてくれます。

このような作業をワンカットずつ丁寧に行うので、編集にはめちゃくちゃ時間がかかります。徹夜になるのが普通です。

 

⑧サブ出しMA(エムエー)

サブ出し編集が終わったらMAです。
MAには、編集と同じく専門のオペレーターさんがいます。

【MA(エムエー)】とは
VTRに音楽や効果音をつけたり、余計なノイズを除去したり、ナレーション録りをして「音を調整する」こと。

MA前には、あらかじめ音効さんがサブ出しにいい感じの音楽や効果音をつけてくれています。それでOKかどうかをチェックするのがディレクターの仕事。

ディレクター

音楽のフェードアウトするタイミングをもっと早く!

そこの効果音は消して下さい!

など、ディレクターがオペレーターさんにイメージを伝え、音を調整していきます。

ナレーション録りもMAのときに行い、最終的に全ての音をMIXしたら、VTRの完成です。

 

⑨収録準備(スタジオ台本作り)

スタジオの台本作りもディレクターの仕事です。

収録で使うスタジオ台本は、たたきを作家が作ってくれるのが普通です。ディレクターはそれをチェックして最終的に完成させます。

各ディレクターはサブ出しVTRの編集にかかりっきりになっているので、スタジオ台本作りは演出がやる場合が多いです。

他にもカンペのチェックや、スタジオで使う小道具の確認など、ADに手伝ってもらいながら収録準備を行います。

 

⑩スタジオ収録


サブ出しVTRが完成して収録準備が終わったら、いよいよ収録です!

ディレクターの役割はたくさんあって番組によっても違いますが、

【サブコン(副調整室)担当】
・サブコン担当ディレクター(演出)
・アイソを切るディレクター
・マルチ画面 担当ディレクター

【スタジオ担当】
・フロアディレクター
・その他、物出し担当など

など、様々あります。

スタジオの上には「サブコン(副調整室)」と呼ばれる部屋があって、そこから演出がスタジオ全体を見渡して、カメラマンやフロアディレクターに色々と指示を出します。

(サブコンからフロアディレクターに指示が飛ぶ↓)

他にも「アイソを切る(カメラを切りかえる人)」ディレクターや、スタジオのでかいモニターに映像を出す「マルチ画面 担当」など、様々な役割があります。
(右にあるでかいモニターがマルチ画面↓『ケンミンSHOW』より)

 

⑪本編編集(ほんぺんへんしゅう)

スタジオ収録が終わると、ディレクターがCMの尺なども計算しつつ、サブ出しVTRとスタジオ収録を合体させて最終的な編集を行います。これを「本編編集(ほんぺんへんしゅう)」と言います。

ディレクターがオフラインしたデータをもとに、

こんな感じの編集所にまた引きこもって、最終的に一本の番組として仕上げます。(2時間番組だと数日間かかったりする)

ディレクターの仕事はサブ出し編集の時と同じです。

⑫本編MA

本編編集が終わったらMAです。ディレクターの仕事はサブ出しMAと一緒です。

 

⑬情報確認(コンプライアンスチェック)

プロデューサーたちが完成したVTRを見ながら最終的に情報の間違いがないかをチェックします。

担当ディレクターも、店名や人の名前、商品名や値段に間違いはないか、車のナンバープレートが映り込んでいないか、差別的な表現はないかなど、放送しても問題ないかをワンカットずつ確認する『コンプライアンスチェック』を行います。

間違いが見つかったら編集で直します。

 

⑭納品(オンエア)

コンプライアンスチェックと直し編集が終わったら、テレビ局にテープを納品します。(テレビは『テープ』で放送してるのです)

納品はADがやってくれるので、あとはオンエアを待つだけ!
オンエア後には家族や知り合いから連絡が来ることもあります。
(うちの親も連絡をくれます)


(振り出しに戻る)

 

テレビディレクターには「責任がある」

以上のように、ディレクターの仕事はたくさんあるのですが、
ディレクターが負っている責任はシンプルにひとつだけしかありません。

それは、

「番組を面白くすること」

コレのみ。

ですが、これが一番大変です!

面白くなかったら良い大人なのに怒られますし、罵倒されますし、干されますし、クビになります。(フリーの場合は特に)

最近では働き方改革の影響で

AD

じゃ、時間なんで帰ります!

あとはよろしくっす!

ディレクター

(えっ?仕事終わってなくね…?)

という感じでADが早めに帰ってしまうため、リサーチや仕込みが終わらない分はディレクターがやらなければならない時があります。

プロデューサーはもちろん、

プロデューサー

あとはよろしくー。

あんま残業しないでねー

とか言いながら18時には合コンに行っちゃいます。

でも、ディレクターは帰れません。

なぜならディレクターがサボると番組の質が落ちるからです。

最後に一人、取り残されても面白さを追求する人。
それが「ディレクター」なのです。

 

ディレクターの仕事内容に関しては以下の本に詳しく書いておるのでオススメです↓

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