プロデューサーは「番組のマネジメント」をする人
プロデューサーとは「制作費を管理して番組全体をマネジメントする人」です。
その仕事はとにかく多岐に渡ります。ざっと挙げるだけでも、
・企画会議に出る→企画を提出する ・スポンサーと仲良くする ・タレントと仲良くする ・芸能事務所のマネージャーと仲良くする ・タレントをブッキングする ・ロケ中は疲れたタレントのごきげんを取る ・たまにタレントやスポンサーと飲みにいく ・人が足りなくなったら採用する ・家に帰らないADを帰らせる ・たまにスタッフを食事に連れていく ・予算を管理する ・制作費の範囲内で企画が成立するよう努める ・仮払いを精算しないADを怒る ・仮払いを清算しないディレクターを怒る ・オンエア前に情報が間違ってないかチェックする ・コンプライアンスに問題がないかチェックする ・番組が終わらないよう立ち回る ・打ち切りになる事が決まったらタレントやスタッフにどう伝えようか悩む ・問題が起こったら対処する ・・・etc
一般企業で言うところの「営業」と「経理」と「人事」を一人でやってる感じです。
結構大変そうです。
ここから先は、プロデューサーの仕事を「営業」「経理」「人事」の3つに分けてより詳しく解説していきます。
プロデューサーの仕事「営業」
プロデューサーの「営業」のような仕事内容はこちら↓
・芸能事務所のマネージャーと仲良くする
・タレントと仲良くする
・タレントをブッキングする など
要は番組外のスタッフ達と関係性を築く仕事です。
芸能事務所やスポンサー以外にも「技術会社」や「編集所」など、番組作りに関わる全ての機関とうまく連携を取っていく必要があります。
その中心にいるのはプロデューサーです。
番組レギュラーとの関係性は大事
レギュラー番組を持つと、毎週(毎日)レギュラーで出てくれるタレントさんとは、自然と関係も密になります。
番組が長く続くためには、レギュラーメンバーたちとの関係性は非常に大切です。
毎回、気分良くロケや収録にのぞんでもらえるように、うまく立ち回るのがプロデューサーの仕事。信頼が高いプロデューサーになると
あの人の番組だったら、ぜひ出たい!
と、タレントさん側から言ってもらえるようになります。
定期的に打ち上げを開いたり、たまには個別にタレントやマネージャーとの飲み会を仕切るのもプロデューサー。
時にはカメラマンなどの技術やメイク、衣装さんなど、制作だけでなく番組に関わる全スタッフをねぎらう必要があります。
プロデューサーの仕事「経理」
プロデューサーの「経理」のような仕事内容はこちら↓
・仮払いを清算しないディレクターを怒る
・制作費の範囲内で企画が成立するよう努める など
テレビ番組の制作費を握っているのはプロデューサーです。
最近のテレビは制作費が激減しています。
昔のように大きなセットを組んだ企画や、大人数が必要な企画、準備するのに日数がかかるような企画はできません。
中には
制作費なんて知らねぇよ!
おもろい番組を作るためにはお金がかかるんだ!
なんてディレクターも存在します。
そういうディレクターたちをうまく言いくるめて、制作費の予算内で番組を成立させるよう立ち回るのもプロデューサーの仕事です。
『番組の面白さと利益のバランスを取る』という重要な仕事です。
プロデューサーはお金に厳しい!
プロデューサーは、予算の中から番組制作に必要な分だけADやディレクターにお金を渡します。これを仮払いと言います。
ADたちは、この仮払いの中からロケに必要な小道具などを買い出します。
プロデューサーは、ADたちが余計なものを買わないように常に監視しています。
このお皿は買う必要ないでしょ?
買わないで会社にあるものを使いなさい!
昼飯は1000円までって言っただろ!
1010円も頼んでんじゃねーよ!
タクシーなんて使ってんじゃねーよ!
歩けボケカスゴミ!
キャバクラ代なんて落ちるわけねーだろ!
金返せ!ボケカスゴミ!
などなど、無駄使いをしようものならプロデューサーは激昂します。
少しでも無駄使いを減らすのがプロデューサーの仕事なのです。
プロデューサーの仕事「人事」
プロデューサーの「人事」のような仕事内容はこちら↓
テレビ番組制作では、必要な人材を集めるのもプロデューサーの重要な仕事です。
特にADは離職率が高いので、補充するのも大変です。
もう耐えられないので辞めます…
もうちょっと頑張ろー。
相談に乗るから。
といってADたちを元気づけるのもプロデューサーの仕事です。
さらに重要なのは、ディレクター集め。
面白くて長く続く番組を作るには、優秀なディレクターが不可欠です。
制作会社の社員だけでは人手が足りないことがほとんどなので、時にはフリーランスのディレクターたちに片っ端から声をかけるのもプロデューサーの仕事です。
他にも、ロケや収録に必要なカメラマンなどの技術、メイク、衣装さんなど、必要な人材を集めます。
プロデューサーになるためにはどうすればいいのか?
プロデューサーになるためには、主に2つの道があります。
・AD→AP→プロデューサー ・AD→ディレクター→プロデューサー
みんなADからキャリアがスタートしますが、「AP」を経てからプロデューサーになるパターンもあれば、「ディレクター」を経てからプロデューサーになるパターンもあります。どちらを選ぶかは本人の自由です。
いきなりプロデューサーになることは、まずありません。
プロデューサーは「番組を作る人」ではない
勘違いをしている人が多いですが、プロデューサーは「番組を作る人」ではありません。いわゆる、ロケや編集はやりません。
え?そうなの?
って思った方、多いかもしれません。
映画で考えてください。
「監督(ディレクター)」が作品を作って「プロデューサー」はマネジメントする。
テレビも一緒です!!
タレントがいなければロケには来ないし編集所にも現れません。
カンペを書いたり出したりする事もありません。定例会議では中心の席を陣取るものの企画やアイデアを出すことはありません。
会議が盛り上がるよう、笑っているだけ。
しかし、お金のかかりそうな大掛かりな企画が提案されると
お金が無いからダメ〜!
他の企画を考えてね〜
と、急に発言したりします。
ADやディレクターのように
イスを並べて会社に泊まりこむ事もありません。
風呂に入れなくて臭くなる事もありません。
18時には仕事が終わり、家族サービスしたり、合コンに行ったり
充実したアフターシックスを過ごせる役職なのです。
なぜ、プロデューサーは偉いのか?
じゃあ何でプロデューサーは偉いの?
それは「お金」を握っているからです!
チーム全体を掌握して利益を出しているからです!
(その利益から僕もギャラをもらってます)
経理の項目でも話しましたが、プロデューサーは徹底した緊縮財政で決してスタッフに贅沢をさせません。
ディレクターが好きな女優をブッキングするよう頼んでも
無理に決まってるでしょ!
ギャラ高いよの!
という感じでプロデューサーNGが出ます!
利益のために、お金に厳しいのがプロデューサーなのです。
そのため、プロデューサーとディレクターがぶつかる事もよくあります。
ディレクターは基本「面白くする事」しか考えていません。
お金のことは二の次です。
演出のためには
お金なんてケチケチすんなよ!
と思っています。
でも、無理をして予算オーバーが続いたら番組そのものが終わってしまします。それでは本末転倒。演出として面白くなるのかもしれませんが、予算には限界があります。
そんな時はディレクターの機嫌を損ねずにいかに妥協させるか?
プロデューサーの力量は、そんな所でも試されるのです。
妥協のさせ方(例)
あの女優、今回は企画NGだったけど(ウソ)
次の企画で絶対呼ぶから。
・・・💧
(次っていつだよ?)
他にも、辞めそうなADがいたら一生懸命悩みを聞いてあげます。
大変だね〜。大丈夫、大丈夫。
来年には人増やすからもう少し頑張って〜
・・・💧
(いや、今必要なんだよ)
そうやってプロデューサーは「仕事をしやすい環境」を整えています。
ディレクターにも、ADにも、APにも、タレントにも、技術にも、美術にも、スポンサーにも、メイクさんにも、取材先にも、テロップにも、ナレーションにも、予算にも全てのことに気をつかい利益を出す。
プロデューサーは「気づかいの人」なのです。
面白い番組作りには
うまく立ち回ってくれるプロデューサーが欠かせません。
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